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フル・アウトソーシング

フル・アウトソーシング
フル・アウトソーシング
中小企業経営を成功まで導く

税理士法人Bricks&UK

日本企業の99%以上を占める中小企業の生産性は、大企業の3割程度といわれている。この課題に対して、会計事務所として取り組んでいるのが、税理士法人Bricks&UKである。代表社員の梶浦潮氏は、「会計事務所の仕事は、申告書を書くことではありません。中小企業の経営を成功に導くことが、私たちの本来の使命です」と言い切る。

こうした志を抱くようになったのは、前職での経験がきっかけだった。慶應義塾大学卒業後、名古屋鉄道に入社し、グループ全体の戦略を考える部署に所属。ここでの実績が評価され、世界5大会計事務所のひとつだったアーサー・アンダーセンの日本法人にヘッドハンティングされる。その頃、旧友から実家が経営する小さな工務店の経営再建を請われ、日頃から大企業のコンサルティングに携わっていた梶浦氏は二つ返事で引き受けた。

「始めてから気付いたのは、中小企業はお金、人材、時間、リソース、信頼など、あらゆるものが足りないこと。そうした制約がある中で経営を再建することが、いかに大変であるかを痛感しました。何とか結果を出し始めた頃に、友人の父親から涙ながらに手を握られて、“本当にありがとう”と言われたことが忘れられませんでした」
中小企業の課題解決のために、ウェブ制作も自社内で行う
フル・アウトソーシング

税理士法人Bricks&UKを含めて、4つの法人を経営。グループ全体で約1000人の従業員を抱えている。

2006年創業のBricks&UKは、会計事務所とは思えないほど幅広い業務を展開している。税務会計を核に、コンサルティングや人事労務、M&Aなど、10のソリューションを用意。経理代行では請求書の発行や送付だけでなく、従業員の経費精算処理まで請け負う。人事代行では、従業員の入退社があった場合、当人との窓口になりあらゆる手続きを担当する。業務の範疇は、プロモーションにまで及ぶ。できるだけアウトソーシングしてもらうことで、顧客の生産性向上を図るためだ。

「重要なのは、お客様の経営上の悩みをいかに解決できるか。最も多い悩みは売上の向上で、それに対して社内に専門のチームを用意しています。ディレクターやデザイナーが、ウェブサイトや販促ツールの制作、マーケティングやブランディングまで担当。広告会社とは違い、私たち会計事務所は最下流でお客様のすべての数字を把握・管理しています。そこが、会計事務所がプロモーション業務を行う強みになっているのだろうと自負しています」

そして、満を持してローンチしたのが、新開発した業務管理のクラウド型システムに従来のアウトソーシングを組み合わせた、“Bricks&UK フル・アウトソーシング”だ。例えば卸売業の場合、小売店からの注文受付、倉庫からの商品発送、請求書の発行、入金確認といった作業を個別のシステムや方法で行うことは珍しくない。しかし、この新システムなら、PCでアプリケーションを操作するだけで、一連の業務をスムーズに行える。データを転記する必要もなく、情報が集約されるため社内での進捗の共有も簡単になる。さらに、このシステムで行う業務も、アウトソーシングとしてBricks&UKに発注できる。
「ある卸売業のお客様は、物流を倉庫会社に委託されています。小売店からの注文時に、倉庫会社がこのシステムにアクセスすると、出荷指示書を出力できます。指示に従って商品を出荷した後、出荷伝票のデータをシステムにアップロードすれば、出荷連絡が小売店にメールで届けられます。その後の請求作業も、クリックひとつでPDFの請求書が作成され、メールで送付されるという仕組み。さらに、従来から使われている会計システムと連動することで、入金確認もできます」と、開発を担当した小原徳康氏は語る。

このシステムは、サイボウズの業務システムであるキントーンがベース。顧客のニーズにあわせて、オーダーメイドでつくられる。開発費用は500万円から、ランニングコストは月間10万円前後と、中小企業にとっても現実的な価格設定だ。
企業経営に必要なKPIを定め、すべてのデータを一括で管理
フル・アウトソーシング

Bricks&UKのエントランスの様子

現在のシステムは、各工程で確認や実行といった簡単な作業が必要だが、次のステップではRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を予定している。そうなれば、人の手によるクリック作業すら不要となり、完全自動化が実現する。だが、注目すべきは、これが業務を効率化するためだけのサービスではないことだ。梶浦氏は、そもそもの狙いをこう語る。
「大企業には、統合基幹業務システムと呼ばれるERPがあります。ERPとは、その会社にとってのさまざまなKPI(重要業績評価指標)を集計するために、すべてのデータを管理できるようにしたもの。しかし、中小企業は何がKPIなのかを定義づけされていないことが多く、仮にKPIが決まっていても、最上流の現場から最下流の経理までを流れるデータを一気通貫で管理するシステムが存在していません。KPIを定義づけるノウハウをもつ私たちが、システム開発を含めたすべてを行っていることが、“フル・アウトソーシング”の特徴であり、ひいては中小企業の生産性向上を実現させることを目的としています」
実は、Bricks&UKではスループット(単位時間あたりの処理能力)という指標を使ったシステムを自社で開発し、運用している。生産工学の考えをもとに、業務の完全な見える化を実現したものだ。経営の目標達成までに必要な作業や時間を逆算し、従業員が出社すると、PCの画面にその日にやらなければいけない仕事内容が指示される。こうした業務設計の成功体験が、“フル・アウトソーシング”の根幹にも繋がっているのだ。
#Episodeフル・アウトソーシング
INTERVIEW
梶浦潮さん
INTERVIEW
税理士法人Bricks&UK 代表社員 梶浦潮さん
2002年アーサーアンダーセンに入社し、大企業向けのERPシステムの導入、BPRプロジェク トを手掛ける。アーサーアンダーセンで得た経営の方法論を中小企業に提供するため、2006年 税理士事務所Bricks&UKを開業。2022年現在、Bricks&UKは、東京・名古屋・沖縄・バンコクに拠点をもつ総合事務所として展開している。
https://bricksuk.biz/

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。


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