#Episode
星のやバリ
バリの魅力を現地従業員と発信
星のや
手探り状態から始まった、インドネシアでの運営体制の整備。
「バリらしさを引き出しつつ、ところどころにほんのり日本らしさを感じられる要素もあります。たとえば、空間をすべてゆったりとるのがリゾートの基本ですが、ここではあえて動線の一部を狭めて路地のような雰囲気を出しています」と語る、総支配人の廣瀬真人さん。ただし、どこまで日本らしさ、星のやらしさを演出するかについては模索中だと言う。
「お客様のうち、日本人の割合は約45%ですが、それ以外の国の方でも、星のやについて詳しく知らないまでも、日本のブランドということで期待されて来られる方もいらっしゃいます。日本人を含め、そうした層を意識すべきかどうか。もちろん、だからといって茶室をつくろう、といったことではありません」
「インドネシアの労働法など法律について学ばなければなりませんでしたし、現地スタッフの雇用条件や福利厚生を決めるのも基準がわからなくて大変でした。現地の一般的な待遇は日本ほど手厚くないので戸惑いましたが、かといって日本と同じにしてしまっては周囲とのひずみも生じます」
また新しい商品開発に当たってオリジナルの什器が必要となっても、当然付き合いのあるサプライヤーはいない。製作できる工場や職人をあちこち聞き回って探したと言う。
「でも、一番苦労したのは人材の育成ですね」
対話によって現地スタッフを育成し、リゾートの質を高める。
これまでに販売した商品は、バリ伝統舞踊と食事・スパトリートメントを合わせたウェルネスプログラム「バリ舞踊美人滞在」、ムルカット(沐浴)やヨガなどが体験できるウェルネスプログラム「賢者の養生」、スタッフに教わりながら草花を使ったお供えを作るアクティビティ「バリニーズの手仕事体験」、インドネシア語で軽食やおやつを意味するチャミランをガゼボで楽しめる「チャミランガゼボ」、インドネシア伝統のろうけつ染め布「バティック」を作るアクティビティ「バティック サヤ」など。初めのうちは日本人社員主導で企画し、細部まで詰めていたが、次第に現地スタッフからアイデアが出てくるようになった。
今後は現地スタッフの育成とともに地域との繋がりを深め、もっとディープなもの、これまで観光資源とされていなかったものを新しい商品として発信していきたいと言う廣瀬さん。星のやバリは、これからも成長を続けていく。
#Episode星のやバリ
INTERVIEW
INTERVIEW
星のや 総支配人 廣瀬真人さん
1979年茨城県生まれ。2012年「星野リゾート リゾナーレ小浜島」入社。13年に社内立候補制度により料飲ユニットディレクターに就任。ビュッフェレストランとイタリアンレストランの運営を行い、ワインペアリングメニュー「琉球エレガンス」の開発により大きな集客を生む。その後「星野リゾート トマム」宿泊ユニットディレクターを経て18年より現職。
https://www.hoshinoresorts.com/
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