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ヒューマンサポート

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“持続可能な介護保険制度を”

株式会社日本ヒューマンサポート

総務省統計局の令和元年の人口推計によると、日本の総人口は9年連続で減少。前年比で48万7千人の減少となった一方、65歳以上の人口は30万7千人増加。総人口における、65歳以上の人口の割合は28.4%と、過去最高となった。

一方で、介護の現状はどうか。厚生労働省の介護保険事業状況報告(令和2年9月分)によると、要介護(要支援)認定者数は676万人となっており、こちらも増加傾向にある。

高齢化社会における介護のニーズは高まるばかりだが、民間企業の経営者として、良質な介護サービスを追求するだけでなく、業界全体を巻き込み、社会変革に挑む日本ヒューマンサポート代表取締役の久野義博氏に話を聞いた。
ケアミックスの発想から、 新たなサービスが生まれる。
久野氏はもともと、介護保険法施行時、コンサルティング会社に勤務していた。相続対策に関するスキームのひとつとして高齢者施設の開設・運営を提案し、多くの案件に携わる過程で介護事業に成長産業としての可能性と社会的な意義を見出し、自ら有料老人ホームの施設運営事業に乗り出し、2007年に最初の施設である「ヒューマンサポート幸手」を立ち上げた。
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2020年9月、埼玉県桶川市にオープンした施設にて、介護保険制度について語る久野義博氏

介護保険制度を分析し、事業計画を練り上げた久野氏は、さまざまなアイデアを実行した。介護付き有料老人ホームは高額な入居費がかかるケースが多いが、同社の施設は数カ月分の保証料のみで入居費は無料。また、他の施設で断られてしまうような医療的な処置が必要な人でも入居可能とした。
さらにユニークなのは、施設内にデイサービス、訪問介護、居住介護支援事務所といった複数の介護事業を併設し、相互が補い合えるケアミックスの手法を取り入れたこと。デイサービスにおいては、レクリエーション、リハビリテーション、リラクゼーションの「3R」に注力し、新しいメニューを開発。プールでの歩行訓練やマッサージ、カラオケ、メイクなどの美容まで、これまでに提供したコンテンツは約300に及ぶが、このサービス目当てに、周辺の他の施設から利用者が集まってくるほどの人気となっている。

「利用者と、ケアサービスに従事する職員。どちらにとっても満足できる場をつくりたいと思って、頑張ってきました」と語る久野氏。同社の課題の一つでもある人材難については、業界全体の問題として捉える必要があるという。
あるべき社会の実現に向けて、 業界全体として取り組む。
2000年に施行された介護保険法によって、自治体および公的な福祉団体のみ提供可能だった介護サービスが民間企業などに開放されたが、当初から今日に至るまで、人材の確保は介護業界を悩ませ続けている。
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桶川施設の外観写真

「現在、介護業に携わる労働人口は約200万人、業界の全国的な離職率の平均は約25%と言われており、40~50万人が流動化してしまっています」

離職率が高い理由は、介護の仕事が想像以上のハードワークであることに加えて、その報酬が労働に見合っていないと考える人が多いからではないかと久野氏は考えている。

「国税庁が今年9月に発表した民間給与実態調査によると、全業種の平均年収は436万円。一方で、介護業のそれは約361万円(厚生労働省平成30年度介護従事者処遇状況など調査結果の概要より年収を算出)です。開きを生んでいる要因ですが、95年から始まった介護保険法の制度設計の段階で、介護サービス従事者の多くをパートタイマーと想定していたのか。あるいは、これほど急速に高齢化が進むと予測できなかったからだと私は思います」

事業所の売上、ひいては従業員の給与の元となるのは介護報酬だが、サービスの種類ごとに内容や要介護度などに応じて支払われる額が定められている。利用者が所得に応じて1~3割を負担し、残りを自治体が介護給付として事業所に支払う仕組みだ。介護報酬は3年、介護保険法は5年ごとに改定されるので、介護事業は政策に大きく左右される。しかし、これまでの介護関連の各団体は個別に陳情や要望を提出するのみで、業界全体として政府に働きかけることができずにいた。
「高齢化と介護は、日本全体の大きな課題です。この難局を乗りこえるためには持続可能な介護保険制度の確立が不可欠。業界全体が一丸となって産業化や生産性の向上に取り組み、実証データを基に、具体的な提案を続ける必要があります」

そうした思いから久野氏らが中心となって2018年に設立したのが、一般社団法人全国介護事業者連盟。介護関連のあらゆる事業者が無料で入会できるこの連盟には、すでに約7千の事業所が加盟している。翌年には政策の提言を行う全国介護事業者政治連盟も設立し、会長として、さまざまな要望書を政府に提出してきた。

「要望書提出だけでなく、補正予算の策定に際しては知恵を出させていただき、とりまとめのお手伝いもしました」

政権移行後、すでに菅総理大臣の元を訪れ、介護現場の窮状と課題について報告し、理解と支援を求めている。これらの活動によって持続可能な介護保険制度の実現を目指すとともに、久野氏はその先の未来まで想いを巡らせている。
「世界の高齢者人口は10億近くいるそうですが、日本の30倍近いマーケットがあると捉えることもできる。日本式介護の産業化を確立し、そのノウハウを世界に輸出すれば、世界の高齢化社会への貢献と国益を両立できるのではないでしょうか」

企業の枠を超えてより良い介護業界、社会を目指す久野氏の今後の活動を見守りたい。
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INTERVIEW
久野義博
INTERVIEW
株式会社日本ヒューマンサポート 代表取締役 久野義博
1963年、埼玉県生まれ。外資系企業、国会議員秘書、コンサルタント会社などを経て2004年株式会社日本ヒューマンサポート代表取締役就任。2018年 一般社団法人全国介護事業連合会副理事長および関東支部長就任。2019年全国介護事業者政治連盟会長就任。
https://n-h-s.jp/

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。


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