#Episode
水環境ソリューション
安全な水を世界の人々に届ける
株式会社クボタ
クボタの礎は、水道用鉄管製造によって築かれた。
クボタは戦後になると、1948年にアメリカで発明された新素材「ダクタイル鋳鉄」にいち早く注目し、研究を開始。組織中の黒鉛を球状にすることで、鋼に近い強度を持たせつつ鋳鉄本来の耐食性も確保したダクタイル鋳鉄は、水道管の大口径化を可能にする。それは、水道普及率が上がり、より多くの水が求められていた当時の日本に必要なものだった。
現在、日本で敷設されている水道管のじつに半数近くがクボタ製のものだ。また水道管製造を手がける過程で、その関連製品であるバルブやポンプの製造など、水に関するさまざまな製品も開発していった。その後もクボタは水道管製造技術をアップデートし、74年に世界初の耐震型ダクタイル鉄管の開発に成功。そして2010年には、高い耐震性を有しながら100年という長寿命が期待でき、施工性も大幅に向上させた「GENEX」(GX形)を開発し、地震大国である日本において、災害から水道という重要なインフラを守るうえで大きな役割を果たしている。
世界最高水準の水インフラを支える水処理技術。
「ろ過膜をどう設置し、汚水の濃度や温度に応じてどう運転するか。ろ過膜は目詰まりを防ぐために洗浄する必要があるので、それをどう検知するか。またMBRは従来法に比べて電力コストがかかるのですが、それをいかに従来法に近づけるかといった課題がありました。社員が施設に張りつき、さまざまなチャレンジを行った結果、実用化に漕ぎ着けることができました。これは終わりのない実験で、今も続けています」と、黒澤さんは語る。
「これまでの下水道は、建築、機械、電気といった分野ごとでの発注が慣例になっていましたが、近年は性能とコスト軽減を求め、一括で発注する気運が高まっています。メンテナンスの面でもそのほうがメリットがある。そこで弊社のノウハウを活かしたい」
その一例が、2017年に大阪・中浜下水処理場で採用された「SCRUM(スクラム)」だ。クボタと東芝が共同開発したこの最新鋭の省エネ型MBR下水処理システムによって浄化された水は、東横掘川・道頓堀川に送水される。「道頓堀川の水がきれいになったら、その証明に私も飛び込んでみようかな」と黒澤さんは笑う。国内はもとより、海外でも数多く導入されているクボタのMBRシステム。水道用鉄管の製造に始まり、120年以上にわたって培ってきた同社の水関連技術は、これからも世界の人々を潤していくことだろう。
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INTERVIEW
INTERVIEW
株式会社クボタ 水環境事業本部長 黒澤利彦さん
1979年クボタ鉄工(現クボタ)入社。ポンプ事業部長、水処理事業部長などを経て、2018年1月東京本社事務所長(現職)、環境事業部長、19年1月水環境事業本部長(同)、同年3月取締役専務執行役員(同)
https://www.kubota.co.jp/
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