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ポカリスエット

ポカリスエット
ポカリスエット
人々の意識を変えた健康飲料

大塚製薬株式会社

今年で誕生40周年を迎えた、大塚製薬株式会社の「ポカリスエット」。“日常生活のなかで飲む健康飲料”を目指して開発された同商品は、今でこそ多くの人々にさまざまな場で愛飲されているが、登場時は中身からパッケージデザインに至るまでまさに前代未聞の飲み物だった。
人間の身体が変わらない限り、ポカリスエットの成分も不変
海外旅行中にお腹を壊し脱水症状になる。大塚製薬株式会社の「ポカリスエット」は、そんな“あるある”体験がきっかけで生まれた飲み物だ。1973年、メキシコ出張中の同社研究員は、強い下痢のため脱水症状に陥った。そこで現地の医師から薬と共に手渡されたのは薬と炭酸飲料。「もっと水分と栄養の補給に適した飲み物があれば」と思った研究員に、“飲む点滴”というアイデアがひらめいた。
大塚製薬は常にこれまでにない新しい健康価値を提案し市場を作ってきた

大塚製薬は常にこれまでにない新しい健康価値を提案し市場を作ってきた

「当時、医師は長い手術の後に点滴液飲むことがありました。大塚グループは輸液事業をルーツとし、研究員はその水分補給の光景を見る機会がよくあったのです」と語る、ポカリスエットのプロダクトマーケティングマネージャー、浅見慎一さん。

吸収のよい点滴液は、人間の体液に近いもの。こうして、汗で失われる体液の水分とイオン(電解質)を手軽に補給できる“汗の飲料”というコンセプトのもと、開発がスタートした。「いわばプロスペックのものを一般化してみようという試みです」。開発チームは、汗を採取して含まれるイオンを分析したり、研究所のある徳島県の眉山の山頂で試作品を飲んで、汗をかいた後の飲み心地を調べたという。
そんな試行錯誤の末、1980年にポカリスエットは誕生した。独特のテイスト、そして食品の世界ではタブーとされていたブルーのパッケージを用いたポカリスエットは、初めのうちはなかなか市場に受け入れられなかった。しかしスポーツ会場からサウナに至る、あらゆる“汗をかく場”での地道な試飲活動によって発売から2年後に火がついた。それからも、水分・電解質補給の必要性を伝える地道な健康啓発活動などにより、今のポジションを築いた。以来40年にわたり、ポカリスエットはその成分を変えないままつくり続けられてきた。

「ポカリスエットに含まれるナトリウムやカリウムなどのイオン、そして糖質は、身体に速やかに水分を吸収できる最適な濃度に調整されています。ですから、人間の体の仕組みが根本から変わらない限り、ポカリスエットの成分も変わることはないでしょう」
あらゆる環境での水分とイオン補給の有用性についてエビデンスを追求
人間の身体は変わらないものの、人間を取り巻く環境や生活習慣などは時代と共に変わる。ポカリスエットの登場時、清涼飲料水の容器はプルトップ式の缶が主流だったが、ペットボトルが普及すると、人々の嗜好にも変化が生じた。
「買ったその場で全部飲むのではなく、携帯して少しずつ飲む方が増えると、頻繁に口にするには従来のジュースは甘すぎるということで、お茶やミネラルウォーターが流行しました。ポカリスエットも発売当初は甘くない、薄すぎると言われたのですが、そうなると逆に甘すぎるという声をいただくようになりました。そこで、機能性を維持したままで甘さを抑えてより日常的に飲みやすくしたのが、2013年に発売した『ポカリスエット イオンウォーター』です」と語る浅見さん。
大塚製薬 本社

大塚製薬 本社

またその一方で、発売以来継続して水分とイオン補給の研究を続け、身体から水分が失われるさまざまなシーンにおけるポカリスエットの有用性についてエビデンス(科学的根拠)を見出してきた。

「1990年代に問題になったいわゆるエコノミークラス症候群は脱水も関係しているのですが、それを確かめるためにジャンボ機を貸し切ってワシントン(モーゼスレイク)まで飛ばして試験をし、健康啓発活動に活かした」。
また、近年問題となっている熱中症には体の内部から冷やすことも必要という研究成果から、2018年には“飲む氷”「ポカリスエット アイススラリー」を発売するなど、時代に応じて常に新しい提案をしてきた。
こうした研究成果からまとめられた学術論文の数は48にも及ぶ。さらに、1992年からは日本体育協会(現:日本スポーツ協会)が設置した「スポーツ活動における熱中症事故対策に関する研究班」に企業として初めて協力を開始。以来、子どもたちのスポーツシーンをはじめ、職場での労働安全衛生、高齢者の水分補給などにもテーマを拡大し、社員が現場に出向く出張講座を中心に情報提供を行っている。

「ポカリスエットに関わっている社員が、熱中症アドバイザーの資格をもっているんですよ」
現在では東南アジア地域を中心に20以上の国と地域で販売されているポカリスエットだが、2020年1月にはメキシコへ健康飲料事業の新会社を設立。初の本格的な北中米進出であり、開発のアイデアが生まれた地、メキシコでもついにポカリスエットが販売されることとなった。
科学的根拠に基づき、医療分野で培われたノウハウを生かしてつくられたこの飲み物は、これからもさらに多くの人々を潤していくことだろう。
#Episodeポカリスエット
INTERVIEW
浅見慎一さん
INTERVIEW
大塚製薬株式会社 ニュートラシューティカルズ事業部
製品部 ポカリスエット
プロダクトマーケティングマネージャー
浅見慎一さん
1981年東京都生まれ。2004年 大塚製薬株式会社入社。横浜支店に営業職として配属。11年 営業部営業企画、さらに製品部 SOYSHアシスタントプロダクトマーケティングマネージャーを経て、12年3月よりポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー(現職)。
https://www.otsuka.co.jp/

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。


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